記事一覧

水を飲んでも、肌はうるおわない

昔スポーツドリンクのCMにもありましたが、人間の体の3分の2は、水でできています。生きた細胞はひとつひとつ、3分の2(65%)くらいの水を含んでいます。角層は死んだ角質細胞でできていますが、そのすぐ下は生きた表皮細胞で、約65%の水を含んでいるのです。当然そこから水は染み出してきます。水羊羹も約60%の水を含んでいますが、それを和紙にでも包んでおけばじわじわと羊羹から水が染み出してきます。角層に水が染み出すのと似た現象です。染み出した水を角質細胞の間にあるセラミドがつなぎとめて、蒸発しないようにキープします。これが肌の水分になります。

体重50キログラムの人ならばその3分の2すなわち約33キログラムの水を体内にもっていることになります。水源がなくなることを心配してせっせと水を飲む人がいますが、それは杞憂というものです。厚さ20ミクロンの角層をうるおす水源としては、体内の水は十分な量です。冬の乾いた室内では、肌が乾燥するから水を飲むとよいとよく言いますが、それは医学的にはナンセンスです。体内の水がなくなることがあるかといえば、それはいわゆる脱水になったときです。体重の4%以上の水分が失われると意識が低下して、放置すると命の危険にさらされます。そういうときはもちろん肌も乾燥しますが、肌どころではなく救急車を呼ばなくてはなりません。

人が脱水になってしまうのは、激しい発熱や下痢、嘔吐、炎天下の労働をしたときなどです。病気で飲食ができないときや、仕事やスポーツの最中で水分摂取が制限されているときなどは脱水になる危険があるのです。脱水は医学的にみると非常に危険な状態で、日常的に起こるようなことではありません。もちろん暖房がきいた部屋に長時間いたくらいで脱水にはなりません。よって、体内の水が不足して肌が乾燥するなどという心配は無用です。肌のうるおいのために必要なのは水を飲むことでも化粧水をたっぷりつけることでもなく、セラミドをおぎなって水分の蒸発を防ぐことです。